12 | SEEDS研究の内容(大学院向け)人間の生理学的機能の測定を通じて看護のデザインを提案する 人間工学とは、私たちを取り巻くさまざまなモノ、道具、機械、環境に関して人間の特性を基準として考察する分野です。工学という名がついていますが、機械について研究するのではなくあくまで人間を対象とした学問として人間工学を考えています。この点で人間工学と看護学とはもともと関連が深い研究分野であると思われます。心拍変動測定に加え、人間工学、生理人類学における様々な研究手法を看護学領域に応用した研究を行っています。例えば歩行中の体幹加速度、長期間睡眠測定、近赤外線光による脳血流測定、超音波エコーによる静脈直径測定、感圧シートによる清拭圧測定などの技術を用いた療養環境の評価、看護技術の客観的検証?開発などに取り組んできました。人間工学/生理人類学/看護デザインHiromitsu Kobayashicontact: kobayasi@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/read0172464図.心拍変動とそのスペクトル大学での学びは、これまでの中学?高校での学習よりも自由度が大きい一方で学習への主体性が問われます。高校時代に大学での学びの基盤を培ってください。メッセージ研究分野人間工学/生理人類学/看護デザイン所属学会日本生理人類学会/日本人間工学会日本看護技術学会学歴?経歴1990年九州芸術工科大学(現?九州大学)大学院 修士課程生活環境専攻 修了1990年九州芸術工科大学工業設計学科 助手1999年博士(理学) 千葉大学自然科学研究科2000年石川県立看護大学 助教授2010年石川県立看護大学 教授受賞2022年TOP10%査読者賞 日本人間工学会2022年日本生理人類学会 学会賞2016年日本生理人類学会 論文大賞論文●Mastumoto M, Hashiguchi N, Kobayashi H(2022). Short-and long-term reproducibility of peripheral superficial vein depth and diameter measurements using ultrasound imaging. BMC Medical Imaging, 22 (1), 1-6.●石井和美, 中田弘子, 小林宏光. (2022). 圧力測定フィルムを用いた臨床看護師の清拭圧? 健常皮膚に対する綿タオルとディスポーザブルタオル清拭の比較?. 看護理工学会誌, 10 , 37-42. ●笠井恭子, 小林宏光, 川島和代. (2017). 特別養護老人ホーム入居者の夜間の排泄ケアと睡眠状態との関連. 老年看護学, 21(2), 51-58. ●Nagaya S, Hayashi H, Fujimoto E, Maruoka N, Kobayashi H. (2015). Passive ankle movement increases cerebral blood oxygenation in the elderly: an experimental study. BMC nursing, 14 (1), 1-7.書籍等出版物●生理人類学:人の理解と日常の課題発見のために. 理工図書, 2020(分担執筆)●人間科学の百科事典, 丸善出版, 2015(分担執筆)講演?口頭発表等見つめなおす看護実践のカタチ?新しいケア用具の提案?看護実践学会交流集会, 2022競争的資金等の研究課題歩行対称性指標の妥当性およびその正常標準値の検討:科学研究費補助金 基盤研究(C) 2019-2023ヒトの生物学的理解を基盤として現代社会の生活?環境について考える研究の概要 ガリレオ(1564-1591)は?教会のシャンデリアが揺れているのを見て?振り子の等時性を発見したと伝えられていますが?その際に自分の脈をとり時間を計ったといわれています。振り子の等時性の発見に?心拍が一役買ったわけですが?実は心拍はそれほど一定間隔で発生するわけではなく?その間隔には常にゆらぎが存在します。このゆらぎは心拍変動(Heart Rate Variability; HRV)と呼ばれています。心拍変動の揺らぎパターンは、加齢だけでなく、精神的緊張など様々なストレスによる自律神経活動の変化も反映すると考えられており、看護的研究でもよく用いられています。この心拍変動について、基礎的?応用的な研究を続けています。小林 宏光 教授
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