SEEDS | 15研究の内容(大学院向け) 時間生物学と骨代謝学領域の研究が中心になりますが、これらの研究成果が生活習慣病の予防や治療に応用できると考えています。具体的には時計遺伝子として知られる転写因子E4BP4/NFIL3やRORαに着目し、分子薬理学的手法、細胞生物学的手法などを一体的に運用することによって、それらの新規機能の解明を目指します。また、それら基礎研究が健康増進、予防薬理学の進展、看護学の深化に寄与することになれば良いと考え、研究を続けています。 こちらは最近の研究の紹介です。 生薬レンギョウの成分である3-O-acetyloleanolic acid は筋細胞のTGR5受容体を介してfibroblast growth factor 21(FGF21)の発現を制御することを明らかにしました。FGF21はインスリン感受性の改善、糖代謝の改善、脂質代謝の改善、エネルギー産生能の向上といった作用を有すると考えられています。Transmembrane G protein-coupled receptor 5 signaling stimulates fibroblast growth factor 21 expression concomitant with up-regulation of the transcription factor nuclear receptor Nr4a1. Kiyama et al., Biomed Pharmacother, 142, 112078 (2021)分子薬理学/時間生物学/骨代謝学Molecular Pharmacology, Chronobiology, Bone biologyTakao Hiraicontact: thirai@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/read0100492メッセージ皆さんが、楽しい!といえる大学生活になるように、お手伝いできればと思います。図. 筋細胞のTGR5受容体シグナルはFGF21発現を制御する。研究分野分子薬理学/時間生物学/骨代謝学所属学会日本薬理学会/日本時間生物学会日本骨代謝学会/日本薬学会学歴?経歴2005年金沢大学大学院博士後期課程修了 博士(薬学)2006年MGH, Research Fellow2009年京都府立医科大学 助教2012年愛知学院大学歯学部 講師2016年愛知学院大学薬学部 准教授2020年石川県立看護大学 教授受賞第28回 歯科基礎医学会学会奨励賞 受賞論文●Takao Hirai et al., Berberine stimulates fibroblast growth factor 21 by modulatingthe molecular clock component brain and muscle Arnt-like 1 in brown adipose tissue, Biochem Pharmacol, 164, 165-176 (2019)●Kenjiro Tanaka, Takao Hirai* et al.,α1B-Adrenoceptor signalling regulates bone formation through the up-regulation of CCAAT/enhancer-binding protein δ expression in osteoblasts, Br J Pharmacol, 173(6), 1058-1069 (2016)講演?口頭発表等講演?口頭発表多数競争的資金等の研究課題生物時計システムの制御を基盤とする新規天然薬物の開発:基盤研究(C) 2019-21年など社会貢献活動日本薬理学会 評議員時計遺伝子を制御する機能的分子を見つける研究の概要 体内リズムと病気の関連について興味を持って研究を続けています。体内リズムを制御する時計遺伝子の新しい役割を見つけること、それらをコントロールするような機能分子を見出すことで多くの病気の予防や治療に貢献できるのではないかと考えています。平居 貴生 教授
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