研究者情報 研究シーズ集
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16 | SEEDS研究の内容(大学院向け)地域に根ざした子宮頸がん予防啓発プログラムの開発を目指して 日本の高校までの包括的性教育のレベルは国際標準より大きく遅れ、子宮頸がん予防について学習する機会はほとんどありません。現在、高校を卒業した18歳以上の女性に対してプレコンセプションケアが必要とされています。若年女性に近い存在のピア(仲間)として石川県立看護大学の大学生や大学院生が共同するチームで予防啓発プログラムの開発を行っています。注) 包括的性教育: 身体や生殖の仕組みだけでなく、性の多様性や人間関係など性を幅広く学ぶ教育  プレコンセプションケア:妊娠前のヘルスケア子宮頸がん/HPV(ヒトパピローマウイルス)/ワクチンがん検診/プレコンセプションケアMiwa Imaicontact: miwaimai@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/read0098922図1. 子宮頸がんを知っていますか? ?わたしたち看護大学生があなたの健康を守るお手伝いをします? (女子高校生向けの子宮頸がん予防啓発資料から一部抜粋)メッセージ若年女性が子宮頸がん予防を自分ごととして考えて行動できるように、前向きに意欲をもって取り組みましょう。 研究分野病理学/思春期学所属学会日本病理学会/日本臨床細胞学会International Academy of Pathology日本癌学会/日本思春期学会学歴?経歴1995年金沢大学大学院医学研究科博士課程 病理系専攻修了 博士(医学)1997年金沢大学 助手1999年金沢大学医学部 講師2000年石川県立看護大学 助教授2007年石川県立看護大学 教授論文●子宮頸がんとその予防に関する女子高校生の知識と態度の状況について 今井美和, 他1名, 石川看護雑誌, 15, 51-62, 2018年●看護系女子大学生が実施した女子高校生への子宮頸がん予防啓発活動の効果 今井美和, 他5名, 石川看護雑誌, 14, 59-69, 2017年●看護系女子大学生が実施した女子高校生への子宮頸がん予防啓発活動2016の効果 -啓発活動2015と比較して- 今井 美和, 他5名, 石川看護雑誌, 15, 63-74, 2018年書籍等出版物ルービン カラー基本病理学 第5版. 第18章 女性生殖器系 西村書店(東京), 全759頁(p.453-483), 翻訳, 2015年講演?口頭発表等●女子高校生を対象とした子宮頸がん予防啓発活動の効果の検討 今井美和, 他2名, 第40回 日本思春期学会総会?学術集会, 2021年●若年成人女性のHPVワクチンキャッチアップ接種行動に関連する因子 今井美和, 他1名, 第42回 日本思春期学会総会?学術集会, 2023年競争的資金等の研究課題女子高校生の子宮頸がん予防行動推進プロジェクト 今井美和(赤祖父美和), 他3名, 科学研究費補助金基盤研究(C), 2013-2016年度若年女性の子宮頸がんを予防するシステムづくり研究の概要 子宮頸がんは20歳を過ぎると増え始めます。子宮頸がんの95%は性的接触によるHPV感染が原因で、HPVに感染した一部の人においておよそ10年以上かけて子宮頸がんが発生します。効果的な子宮頸がん予防は、10代前半にHPVワクチンを接種し、20歳から定期的に子宮頸がん検診を受診することです。2014年に実施した質問紙調査では、ワクチン接種の公費助成で接種した世代の10代後半から20歳の若年女性は、子宮頸がんやその予防に関する知識が乏しく、将来子宮頸がん検診を受けようという意識が低かった。そこで2015?2017年に女子高校生向けの啓発活動を石川県立看護大学の大学生とともに行いました(図1)。この活動を繰り返し行うことで、女子高校生の知識は徐々に定着し、子宮頸がん検診を受診しようという意識が高まりました。2013年6月に接種勧奨が中止されてから約9年ぶりに接種勧奨が再開され、引き続きHPV感染予防や子宮頸がん検診の啓発を行っています。今井 美和 教授

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