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18 | SEEDS研究の内容(大学院向け) 重症筋無力症の骨格筋では小胞体ストレス応答の亢進、免疫チェックポイント因子や補体制御因子などの発現亢進が生じていることを明らかにしている(図1)。つまり、重症筋無力症の病態には従来の自己免疫反応のほかに骨格筋に発現または骨格筋から分泌される物質が免疫機能を制御し病態に関与している可能性が考えられる。この骨格筋における免疫制御機能は重症筋無力症の新たな病態理解に結びつくだけでなく、新たな治療にも役立つ可能性がある。神経免疫学/重症筋無力症/骨格筋Neuroimmunology, Myasthenia Gravis, Skeletal muscleKazuo Iwasacontact: kkiwasa@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/ipnu-DHMS8376図1.骨格筋が発現する免疫制御因子の発現メカニズム(仮説)この研究は、筋肉が免疫機能を調整していることを明らかにすることを目的としております。この研究が発展していくと、筋肉をどのように動かすと長生きできるのかわかるようになるかもしれませんね。メッセージ研究分野脳神経内科学/神経免疫学所属学会日本内科学会/日本神経内科学会日本神経免疫学会/日本神経治療学会日本神経感染症学会/日本脳卒中学会New York Academy of Science学歴?経歴1989年金沢大学 卒業1997年金沢大学大学院 修了2002年金沢大学 助手2005年金沢大学 講師2007年金沢大学大学院 准教授2020年石川県立看護大学 教授論文●重症筋無力症の抗体価の推移と流行性感染症との関連 Neurol Res. 40号2巻(pp. 102-9)2018年●重症筋無力症骨格筋におけるPD-L1の発現. J Neuroimmunol. 325 号(pp. 74-78)2018年●重症筋無力症骨格筋におけるCD59の発現. J.Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 10号1巻online 2022年競争的資金等の研究課題重症筋無力症の新規病態:基盤研究(C) 2021-23年社会貢献活動パーキンソン病いきいきリハビリ教室主催骨格筋にひそむ免疫制御機能を解明していく研究の概要 重症筋無力症の基本的な病態は自己抗体による神経筋接合部のシナプス後膜(骨格筋)の障害である。重症筋無力症ではシナプス後膜の障害に加え、骨格筋においても特異的な反応が生じていることが明らかになってきている。この骨格筋における反応の解明は重症筋無力症の新たな病態理解に結びつくだけでなく、治療にも役立つ可能性があると考え研究を行っている。岩佐 和夫 教授

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