研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 25研究の内容(大学院向け)新たな清拭素材を用いた清拭効果の検討 -得られたエビデンスを臨床での看護実践や教育に還元- 清拭は入浴やシャワー浴ができない対象にタオルを使って皮膚を清潔にする看護ケアである。その効果は皮膚の汚れを落とすだけでなく、温かさや爽快感などの気持ちよさやマッサージ効果、循環促進効果などの多くの効果があり、患者にとっては快の刺激を得られる数少ない看護ケアとなる。しかし、臨床現場では清拭の実施者が看護師から看護補助者に移行する傾向にあり、看護師が清拭を行う機会が減少することによってケア技術の低下が懸念されている。その一方で看護師が行う清拭が、術後や重症度の高い患者へのケアとなり、より高度な技術を求められる。さらに近年では、清拭に使用されるタオル素材の変化により従来の清拭のエビデンスに加え、新たなケア方法の検討が課題となっている。そこで、従来の清拭素材と新たな清拭素材による拭き取り効果の異なる違いを用いた臨床看護師の清拭圧を明らかにし、清拭圧と拭き取り効果の関係についての検討を行った。現在は清拭素材の違いによる皮膚のダメージについての検討を進めており、より安全?安楽で質の高いケア技術の考案を目指すとともに得られたエビデンスを臨床での看護実践や教育に還元していきたい。看護技術/看護教育/清潔ケアKazumi Ishiicontact: kazuisii@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/map30清潔ケアは患者さんにとって快の刺激を与えることができる看護技術です。ケアによって、その人のもてる力を引き出すことのできるケア方法を考案し、臨床および教育に還元していきたいと思います。メッセージ研究分野基礎看護学所属学会日本看護技術学会/日本看護教育学会日本看護科学学会/看護理工学会日本看護シミュレーションラーニング学会学歴?経歴2017年石川県立看護大学大学院看護学研究科博士前期課程看護デザイン分野 修了2017年金沢医科大学看護学部 助教2021年金沢医科大学看護学部 講師2023年石川県立看護大学大学院看護学研究科博士後期課程コミュニティケア?看護デザイン科学分野 修了2023年石川県立看護大学 講師論文●圧力測定フィルムを用いた臨床看護師の清拭圧 健常皮膚に対する綿タオルとディスポーザブルタオル清拭の比較,看護理工学会誌 10 37-43,2022.●ディスポーザブルタオルを用いた部分清拭が高齢者の皮膚に与える影響,日本看護技術学会誌 18 17-25 2019.講演?口頭発表等ロールプレイと動画視聴を取り入れた口腔内吸引演習の効果 -情意面の強化を目指した工夫-, 第5回 日本看護シミュレーションラーニング学会学術集会, 2024.競争的資金等の研究課題科学研究費助成事業 基盤研究(C) 清拭による皮膚ダメージの可視化と皮膚を傷つけないケア技術の考案ケア技術の質向上、患者さんにとってより安全?安楽なケア方法の考案を目指す研究の概要 清潔は人間の基本的欲求であり、日々の生活の中で当たり前に行っている生活行動の1つである。しかし、病気や手術など何らかの理由によって、自分で清潔を保持できなくなった場合は他者に清潔行動を委ねることになる。ケア実施者はその人に代わって、より安全で安楽で効果的な(質の高い)ケアを提供し、その人の清潔のニーズ(欲求)を満たす必要がある。近年では様々なケア用品が開発され、ケアを実施する場や人も多様になっており、このような現状においてもより質の高いケア技術を患者に提供するためには常にケア技術のエビデンスを検証し続ける必要がある。清潔ケアでは「洗う」、「拭く」といった基本的な技術がある。このような基本技術に着目し、誰がいつどのような場で何を用いても同じケアが提供できるよう、ケア技術の検討を行っている。石井 和美 講師

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