SEEDS | 31研究の内容(大学院向け)AYA世代がん経験者のセクシュアリティ(子をもつこと?もたないこと、交際や婚姻、性行為、外見など)に関する支援体制構築を目指して AYA世代がん経験者がセクシュアリティに関してどのような経験をしているのかを明らかにするために、AYA世代でがんに罹患した男女にインタビューを行い、得られた結果を質的記述的に分析した。その結果、AYA世代がん経験者は悩みや困難を抱えているが相談しづらい、支援が得られにくいという経験をしていた。さらに、治療時期により悩みの内容は異なること、男女に共通する内容があること、がんと診断された時点で妊娠している女性に対しては個別的支援が必要であることが明らかになった。この結果を踏まえ、現在はAYA世代がん経験者の悩みや困難を医療従事者と共有するためのツール開発に取り組んでいる。将来的には、このツールを医療機関等で活用し、専門家や支援施設と連携して必要な支援を提供するシステムの構築を目指している。 AYA世代でがんに罹患した方々の経験や支援の大切さを医療従事者に知ってもらうための研修会やイベントをがんサロンや学会で開催している。AYA(Adolescent and Young Adult)世代セクシュアリティ/がん/育児支援Kozue Okesakucontact: okesaku@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/kozueokesaku将来子をもつ?もたないことについて考えること、パートナーとの関係について考えること、自分のからだと心の性について考えること‥「セクシュリティ」について考えることは「どう生きるか」を考えることです。そんなことを皆さんとともに学び、考えたいと思います。メッセージAYA世代がん経験者のセクシュアリティに関する支援体制(案)▲ AYA世代がん経験者と大学生のオンライン対話カフェ2021の様子 (石川県がん安全生活サポートハウスつどい場はなうめ)▲研究分野母性看護学/女性看護学/生涯発達看護学所属学会日本看護科学学会/日本母性衛生学会日本がん看護学会/日本助産学会学歴?経歴2000年富山医科薬科大学医学部看護学科 卒業2018年金沢大学大学院医薬保健学総合研究科修士(保健学)論文●桶作梢,田淵紀子(2019):乳がんサバイバーが子どもに母乳を与える体験.母性衛生,60巻2号,320-328.●桶作梢,米田昌代,濵耕子(2023):がん治療のために妊娠中絶を余儀なくされたAYA世代女性がんサバイバーの次子妊娠への思いと契機.母性衛生,63巻4号,968-976.●桶作梢,濵耕子,米田昌代(2023):AYA世代がんサバイバーのセクシュアリティにまつわる経験.看護科学会誌,43巻.書籍等出版物●エンドオブライフケア看護学-基礎と実践-. 小笠原知枝(編著) ヌーヴェルヒロカワ●第12章エンドオブライフケアの事例,223-226 米田昌代,桶作梢(分担執筆)講演?口頭発表等●妊孕性温存を望む小児?AYA世代への看護 一緒に考えよう, 私たちにできること(第37回がん看護学会 交流集会,2023)●がん治療のために妊娠中絶を余儀なくされたAYA世代女性がんサバイバーの次子妊娠への思いと契機(第36回日本助産学会,2022)競争的資金等の研究課題科学研究費助成事業 若手研究 「治療後に出産するAYA世代がんサバイバーの周産期ケアモデル構築のための研究」2019-2023年社会貢献活動●ペリネイタル?グリーフケア検討会●日本がん看護学会特別関心活動グループ(小児?AYA世代がん看護)思春期?若年成人期にがんになった人々が治療後の人生を自分らしく生きる過程をセクシュアリティの観点から支えたい研究の概要 AYA世代(Adolescent and Young Adult:思春期?若年成人)とは15歳から39歳までの若い世代を指す言葉である。この時期に多くの人は進学や就職、パートナーとの交際や結婚、妊娠?出産などのライフイベントを経験する。AYA 世代でがんに罹患すると、がん治療および治療による後遺症により外見や性機能?生殖機能に影響を与える場合がある。このことは医療の発展によりがん患者の5年生存率が向上しており、AYA 世代がん患者は治療後の長い人生をいかに自分らしく生きてゆくかを模索する状況において重要な課題である。この課題について、様々な治療段階にあるAYA世代がん患者や周産期にあるAYA世代がん患者のセクシュアリティ支援の方法や支援体制構築に関する研究に取り組んでいる。桶作 梢 講師
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