SEEDS | 35研究の内容(大学院向け)親になる前から始める子ども虐待の世代間伝達防止支援プログラムの開発 子ども虐待予防支援プログラムとして、高校生が乳幼児とその親たちと交流する「親子交流を通して親になることを考えるプログラム」を開発してきた(図1)。これは、学校教育カリキュラムの中で実施できるように、いしかわ結婚?子育て支援財団?高校?NPO 法人などの子育て支援団体と共同開発している。これまでの研究で、高校生の親世代になることに対する意識向上や自己肯定感向上の効果を確認し有効性が示された。子育て初心者である親になる前の若者たちにとって、本プログラムのように「親になることを考える」機会を持つことに加えて、基本的な子育てスキルを知ることが必要と考えている。子育ては経験者からの伝聞に基づいてなされることが多く、様々な子育てスキルは経験や感性に大きく影響される。今後は、親になる前からトレーニングするべき科学的根拠に基づいた子育てスキル(Evidence-based Parenting Skill)を解明する研究も進めていきたい。子ども虐待予防/親になること/子育て/次世代育成教育DX(Digital Transformation)Yuka Chiharacontact: chihayu@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/yukachihara図1.親子交流を通して親になることを考えるプログラムの概要子どもの成長発達を理解すると、大人とは違う子どもの世界が見えてきます。子どもは純粋でまっすぐ、だからこそ大人たちの関わり方でいろいろなカラーになる。子どもたちが健やかに成長できる社会の実現を目指して一緒に取り組みましょう。メッセージ研究分野生涯発達看護学/小児看護所属学会日本小児保健協会/日本小児看護学会/日本子ども虐待防止学会/日本乳幼児精神保健学会/母性衛生学会/日本看護科学学会/日本看護研究学会/日本公衆衛生学会/看護理工学会学歴?経歴2021年石川県立看護大学大学院看護学研究科 博士後期課程修了 博士(看護学)2002年金沢大学付属病院2014年石川県立看護大学小児看護学 助手2017年石川県立看護大学小児看護学 助教2023年石川県立看護大学小児看護学 講師論文●青年期前期における「親世代になることに対する意識尺度」の作成と信頼性?妥当性の検討, 日本看護科学会誌Vol.39, pp. 211-220, 2019●高校生のための「親子交流を通して親になることを考えるプログラム」の効果, 小児保健研究Vol.81, 4号, pp. 351-358, 2022●高校生のための「親子交流を通して親になることを考える」プログラムの効果に関連する要因の検討, 看護実践学会誌, Vol.35, 1号, 2023●高校生のための改良版「親子交流を通して親になることを考える」プログラムの評価, 子どもの虐待とネグレクト, Vol.25, No.2, 2023書籍等出版物NiCE 地域?在宅看護論Ⅰ(在宅看護論 改訂第3版), 第Ⅲ章第2節F(6)「子ども虐待予防」(分担執筆), 南江堂, 2023講演?口頭発表等●Reliability and Validity of the “Parenting and Finding-myself Program” Evaluation Scale, 15th World Congress of the World Association for Infant Mental Health, 2015●The Effects of the “Becoming a Parent Program” on High School Students who have Strained Relationships with their Parents, the ISPCAN XXII International Congress on Child Abuse and Neglect, 2018競争的資金等の研究課題●基盤研究(C)「親になる前から始める子ども虐待の世代間伝達防止支援プログラムの開発」(代表/科研費事業:2019-2022年度)●基盤研究(C)「VRによる多様な家庭の子育て疑似体験を活用した子ども虐待防止支援プログラムの開発」(代表/科研費事業:2023-2026年度)社会貢献活動かほく市子育て支援事業乳児NP(Nobody’s Perfect/完璧な親なんていない)プログラム ファシリテーター子ども虐待予防をめざして親になる前の若者への支援アプローチを探る研究の概要 子ども虐待は子どもの発達に広範囲で深刻な衝撃を及ぼすことが明らかとなっており、発生の未然防止が極めて重要である。様々な社会の変化により子どもと関わる機会が少なくなり、「親になること」について考えたり、子育てについて学んだりする機会がないまま親になり、育児不安や不適切な養育につながってしまうことが指摘されている。そこで、親になる前の若者にアプローチする子ども虐待予防支援プログラムの開発をめざし検討を重ねている。千原 裕香 講師
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