研究者情報 研究シーズ集
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38 | SEEDS研究の内容(大学院向け)エキスパートナースの遠隔支援による皮膚を健康に保つケア体制の構築 皮膚を健常に保つためには、皮膚障害のリスクをアセスメントし、そのリスクを改善させるケア計画を立案し実施する必要がある。これらは、基本的な看護技術ではあるが、現在行われている治療による皮膚への影響、理学療法士等の多職種が行っている医療の把握、患者とその家族の思い等、多角的な視点でその患者を把握する必要がある。さらに、効果的なチーム医療を実践するために、看護師は中核的な働きも求められている。したがって、看護師には、皮膚を健常に保つための高度な看護力が求められているが、在職している施設は限られている。そこで、ICTを活用し、看護師を対象に皮膚や創傷の観察支援機器の使用を含めた教育、観察した情報をアセスメントする支援に加え、相談支援もできる体制を構築し、皮膚障害の発生予防や創傷の早期改善を目指している。創傷ケア/スキンケア/ストーマケア/排泄管理/リモート看護師支援Chizuko Konyacontact: ckonya@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/c_konya健康な皮膚を保つケアは、基本的な看護ですが、使用する製品の特長を理解し、その対象により適した物を選択することは容易ではありません。さらに、どのようなタイミングで、どのように使用するかによって効果も変わります。研究を通して、高度なスキンケアの実践力のあるメンバーを増やしていきたいと考えています。メッセージ研究分野創傷看護学/看護理工学所属学会日本創傷?オストミー?失禁管理学会日本褥瘡学会/看護理工学会日本創傷治癒学会/日本看護科学学会 など学歴?経歴1997年創傷?オストミー?失禁看護(現 皮膚?排泄ケア) 認定看護師2005年金沢大学大学院 医学系研究科修了 博士(保健学)2006年金沢大学大学院医学系研究科 助教授2010年金沢医科大学看護学部 教授2019年石川県立看護大学看護学部 教授受賞2016年度 看護理工学会 学会賞論文●Nationwide time-series surveys of pressure ulcer prevalence in Japan. J Wound Care, 2022●皮膚?排泄ケア認定看護師による病院外施設のストーマ周囲皮膚障害保有者に対する遠隔看護師支援の効果検証.日本創傷?オストミー?失禁管理学会誌,23(2),2019書籍等出版物●改定 DESIGN-R? 2020 コンセンサス?ドキュメント.照林社,2020●ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理.照林社,2015講演?口頭発表等●皮膚?排泄ケア認定看護師による遠隔看護師支援の潮流.第51回日本創傷治癒学会学術集会●高齢者と医療従事者を守るためのスキン-テアの予防と管理.日本老年看護学会第26回学術集会競争的資金等の研究課題●科研費基盤研究 (B) 介護保険施設のリモート支援による最良な皮膚障害予防?管理実装モデルの構築●厚生労働行政推進調査事業費補助金 特定行為にかかる評価指標を用いた活動実態調査研究社会貢献活動●日本創傷?オストミー?失禁管理学会 理事長●日本創傷治癒学会 理事 などどこでも、すべての人たちの皮膚を健康に保つ最良なケアを実現研究の概要 高齢者の皮膚は、薄く、弾力性が乏しく、角質水分保持能や皮脂の分泌能などの機能が低下する。このように脆弱な高齢者の皮膚に物理的、化学的な刺激が加わると、褥じょくそう瘡(いわゆる「床ずれ」を意味する)、スキン-テア(皮膚裂傷)、失禁関連皮膚炎などの多様な皮膚障害が発生しやすい。さらに、これらの皮膚障害によって、痛みや痒み、時には皮膚障害部が感染し死に至る場合がある。そのため、高齢者に限らず、様々な皮膚障害を予防し、発生時には適切な管理を病院や介護施設、自宅であっても行える支援体制整備に向けての研究に取り組んでいる。紺家 千津子 教授

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