研究者情報 研究シーズ集
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44 | SEEDS研究の内容(大学院向け)子どもや家族、周囲に自己の病名を伝えることに悩むがん患者、その患者を支援する看護師の世界を知る 子どもをもつ乳がん患者にとっては、子どもに自分の病名を伝えるべきか否かは悩みの一つであるといわれている。その悩みは、たとえ同じ病期で同じ年齢の子どもを養育していても、患者の病状の受け止め方、患者や子どもの特性、これまでの家族の歴史、周囲との協力体制などそれぞれの社会背景や考え方などによって異なる。 患者が子どもに自分の病名を伝えない要因としては、母親自身の負担になることや、子どもに精神的負担を与えたくないなどがあるといわれている。しかし、子どもに病名を伝えることに悩む患者の体験や、その患者を支援する看護師の主観的経験を明らかにした研究は少なく、伝えられない患者への支援がすすんでいない現状である。そのため、対話を通して子どもに自己の病名を伝えることに悩む乳がん患者の体験を明らかにし、がん患者への看護支援の在り方を検討したいと考えている。がん/意思決定/対話 Cancer, Decision making, DialogueRiho Takizawacontact: takizawa@ishikawanu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/rtakizawa図.研究の概要石川県立看護大学では、看護師に必要な根拠のある知識や技術を学ぶだけではなく、皆さんが高度で多様な医療に対応できる判断力?思考力を身に着けられるよう教職員一同がサポートしています。卒業後の進路は病院だけではなく地域や教育?研究機関企業と幅広く、進学してさらなるスキルアップを目指すこともできます。本学はあなたの夢を全力で応援しています。メッセージ 研究分野がん看護/慢性期看護所属学会日本看護科学学会/日本がん看護学会日本緩和医療学会/日本看護研究学会学歴?経歴●石川県立看護大学看護学部看護学科(看護学)●石川県立看護大学大学院 博士前期課程実践看護学領域成人看護学分野がん看護CNSコース 修士(看護学)●石川県立看護大学大学院 博士後期課程(看護学)受賞瀧澤理穂, 牧野智恵:第27回日本緩和医療学会. 2022年.(優秀演題)論文●瀧澤理穂, 牧野智恵:乳がん患者が子どもに病名を伝える苦悩を乗り越える体験- M.Newman 理論に基づく対話から-.日本がん看護学会誌,31,172-180,2020年.●瀧澤理穂, 牧野智恵:がん体験者が身近な人に病名を伝える上での悩み.石川看護雑誌,7,63-68,2020年.講演?口頭発表等●瀧澤理穂, 牧野智恵:I県民における緩和ケア?在宅療養に関する意識調査-2010年の調査と比較して-,第35回日本がん看護学会学術集会,2021年.●瀧澤理穂, 牧野智恵:乳がん患者が子どもに病名を伝えることへの看護介入の困難感に関するアンケート調査.第27回日本緩和医療学会.2022年●Riho Takizawa, Tomoe Makino: Experiences of breast cancer patients who worry about telling their children about the disease. East Asian Forum of Nursing Scholars, 2023年.競争的資金等の研究課題瀧澤理穂:乳がん患者が子どもに病名を伝える苦悩の体験,R2?R5年,科学研究費助成事業 若手研究社会貢献活動●石川県立看護大学地域ケア総合センター事業企画責任者●一人で悩まないで乳がんサバイバー同士で語り合おう(2020年?)●終末期実践の悩みを語り心も体もリフレッシュ(2020年?)●看護研究に活かせる現象学を楽しく学ぼう(2023年?)がん体験者の悩みの核心や意思決定の背景をともに探る研究の概要 医療の進歩により、がんの生存率は向上している。がん体験者が定期的な通院、仕事や家事を調整し、病気に伴う生活の変化にうまく対処していくためには、他者からのサポートを得ることが重要となる。その前段階として、がん体験者であることを家族や周囲にいつ、どこまで、どのように伝えるかという悩みが生じている。そういったがん体験者の意思決定に関する思いや体験を明らかにし、がん体験者を支援することを目的に研究に取り組んでいる。瀧澤 理穂 助教

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