研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 45研究の内容(大学院向け)高齢者施設で看取りの説明を担う看護師の実践能力と育成支援を探る 高齢多死社会となり、病院内にとどまらず高齢者施設でも看取りは避けて通れない重要な業務の1つとなっている。しかし、高齢者施設に常勤医がいる施設は1割に満たず、医師不在であれば看取りの説明を看護師が担っている。以前取り組んだ研究では、看取りの説明に困難を感じているという看護師の語りが複数あった。その中でも「看取りの説明には経験が必要であり、誰にでもできるものではないから難しい。」と言う看護管理者の語りがあり、今後の課題のひとつとして、『看取りの説明を担える後輩看護師の育成』が必要であると考えた。また、同調査では、「最終的に看取りに納得できないと看取りの説明時の決断を後悔するため、看取りの説明は重要であり難しい。」という家族の立場を踏まえた語りもあった。看取りとは、看取りの説明から最終的な看取りまで切り離せるものではなく一連のプロセスである。最終的に悔いのない看取りを迎えるには、看取り期に入る説明のタイミングや内容が重要である。 そこで、現在、看取りを担っている看護師を対象とし、看取りの説明を担う看護師に必要な実践能力と説明者育成のための支援を検討するための研究に取り組んでいる。看取りの説明がスムーズに行えることで、本人、家族、多職種チームは“看取り期に入る”と、意思統一が図れ、看取り期のケアの充実が期待できる。また、十分な看取りケアを行うには、ある程度期間が必要であるため、説明時の支援に着目することで、本人の望む看取り期を過ごすためのケアが提供できる期間が増えると考えている。高齢者施設/看取り/高齢者救急/LGBTQ+/GID/トランスジェンダーNana Nukacontact: nukanana@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/nananuka看護職は人を看る仕事です。人に関心を持ち、対象者を“患者”ではなくひとりの“人”として尊重できる看護師の育成を目指しています。学生の皆さんも、大切な尊重されるべきひとりの人間です。お互いに相手に関心を寄せ、本学で一緒に深く学び合いませんか。メッセージ研究分野成人?老年看護学/精神看護学所属学会日本看護科学学会/日本看護研究学会日本老年看護学会/GID学会学歴?経歴2020年福井県立大学大学院看護福祉学研究科看護学専攻博士前期課程 修了2020年石川県立看護大学 助教論文介護保険施設における澳门金沙城中心感染流行時の入所者とその家族への対応,石川看護雑誌, 19, 101-110, 2022.講演?口頭発表等●就寝前の温浴による認知症高齢者の夜間睡眠への影響,日本看護研究学会第49回学術集会(2023)●介護保険施設における澳门金沙城中心感染流行時の入所者とその家族への対応, 日本老年看護学会第27回学術集会(2022)●介護保険施設入所高齢者の看取り期の判断を家族と共有するうえで看護師が抱える難しさとその背景にある思い, 第40回日本看護科学学会学術集会(2020)●A県における小児訪問看護の体制整備および質向上のための方策, 第8回日本在宅看護学会学術集会(2018)競争的資金等の研究課題●高齢者施設における看取り期の説明に関する実態調査及び看取りの説明を担う看護職に必要な実践能力と説明者育成のための支援の検討(公益社団法人全国老人福祉施設協議会調査研究助成事業)●介護保険施設における認知症高齢者の難聴に着目した支援プログラム作成に関する研究(科学研究費助成事業基盤研究(C)分担)社会貢献活動●日本看護研究学会近畿?北陸地方会 広報委員●日本ACLS協会 BLS?ACLSインストラクター●第12回看護理工学会学術集会 実行委員●LGBTQ出張授業●第12回ILFJ学術集会 実行委員(2023)●かほく市介護認定審査会 審査員(2021-2022)●学園大サンライズ研修会 講師(2022)●日本看護研究学会 第32回近畿?北陸地方会学術集会 事務局(2019)高齢者に人生の最期まで自分らしく過ごしてもらうために高齢者施設での看取りケアの向上を追求する研究の概要 自分は人生の最期をどのように迎えるのか見当もつかない。でも、誰もが自分らしく心地よく最期を迎えたいと願っているのではないだろうか。誰と、どこで、どんな風に過ごすのか、私たちが最期まで自分の望む自分でありたいと思うことは当然であると言える。高齢者は、老年期に入り、社会的役割の喪失、親しい人との別れ、身体機能や認知機能の変化など様々なことを経験している。もし、全ての判断が自分でできなくなっても、もし全ての生活行動が自立していなくても、その人らしく最期まで生きる支援をしたいと考え、高齢者施設の研究、特に看取り期に着目して研究に取り組んでいる。額 奈々 助教

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