▲図1. セルフ心エコーによる遠隔48 | SEEDS研究の内容(大学院向け)心不全療養者の再入院予防に向けたセルフ心エコーの実装と非医療者用エコー器機の開発 心不全療養者によるセルフ心エコーの実施に向け、まず心機能評価項目の検討を行った。そこで、心機能の悪化兆候を反映する指標として、下大静脈に焦点を当てた。下大静脈は、Nt-proBNPとの相関や、再入院の要因となるうっ血の評価が可能である。そこで、セルフ心エコーによる下大静脈の描出を目指したプロトコルの開発を行った。開発したプロトコルの検証結果から、健常成人(Katano, Miya 2021)や地域在住の非心不全高齢者(Tanaka 2022)、外来通院可能な心不全療養者(Ishiwa, Kimura 2023)は下大静脈の描出が可能であることが示された。 セルフ心エコーによる遠隔医療システムの構築(図1)を想定している。遠隔医療システムの構築を見据え、AR技術を援用した遠隔指導によるセルフ心エコー(図2)の実現可能性について検討を行った(Fujio, 2022)。AR技術を援用することでエコー走査手技の間接的な誘導が可能となる。結果、健常成人はAR技術を援用した遠隔指導によりセルフ心エコーによる下大静脈の描出が可能であることが示唆された。現在、心不全療養者によるセルフ心エコーの実現可能性の検討や、非医療者用エコー器機の開発を目指した研究をすすめている。心不全/エコー/褥瘡再発予防/看護理工学AR(Augmented Reality)/DX(Digital Transformation)Fumiya Oohashicontact: foohashi@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/fumiyaoohashi看護の奥深さは何でしょう?皆様も本学で看護の魅力を体感し、一緒に探求しませんか?そして、看護の力は無限大です。それぞれの夢の実現に向けて一緒に歩みましょう!大切な大学生活を全力でサポートします。メッセージ医療システム構想図2. AR援用セルフ心エコー ▲研究分野創傷護学/看護理工学/成人?老年看護学所属学会日本看護科学学会/看護理工学会/日本創傷治癒学会/International Lymphoedema Framework Japan/日本褥瘡学会/日本創傷?オストミー?失禁管理学会 など学歴?経歴●群馬大学大学院保健学研究科 修士(看護学)●金沢大学大学院医薬保健学総合研究科 博士(保健学)受賞Best Poster Presentation Award, 「The most appropriate duration for preventing recurrent pressure ulcers among patients with pressure ulcers undergoing conservative treatment」, 26th East Asian Forum of Nursing Scholars 2023. など論文●Cumulative recurrence rate of pressure ulcers in bedridden older adults healed with conservative treatment. Japanese Society of Wound, Ostomy, and Continence Management, 27 (1), 2023.●Increased temperature at the healed area detected by thermography predicts recurrent pressure ulcers. Wound Repair and Regeneration, 30 (2), 190-197, 2022.●Interventions for the management of lower extremity edema in the elderly people: A review. Lymphoedema Research and Practice, 9 (1), 1-12, 2022 など書籍等出版物一般病棟の認知症患者「こんなときどうする?」(共著). 照林社, 2017. など講演?口頭発表等●The most appropriate duration for preventing recurrent pressure ulcers among patients with pressure ulcers undergoing conservative treatment (EAFONS, 2023)●Using self-monitoring echocardiography to delineate and measure the inferior vena cava diameter by patient receiving treatment for heart failure(EAFONS, 2023) など競争的資金等の研究課題若手研究「在宅心不全療養者へのセルフ心エコー導入による先駆的な遠隔医療システムのモデリング」(代表/科研費事業:2022-2024年度) など社会貢献活動日本看護科学学会 若手エリアマネージャー などエコーを用いた体内の可視化により、病に苦しむ高齢者への新たな看護システムを探る研究の概要 日本は心不全パンデミック禍にあり、心不全の罹患率は高齢者を中心に年々上昇している。心不全の特徴は、心機能の増悪と寛解に伴い再入院を繰り返す点にある。現在の大きな問題は、心不全療養者の再入院率の高さである。再入院率が高い要因は、在宅における医療者の人材不足や心機能悪化後の症状をモニタリングしている点にある。そこで、心不全療養者が自身で心機能を把握し、症状が出現する前段階を可視化することを目的に、セルフモニタリング心エコー(以下、セルフ心エコー)の実装に向け研究活動に従事している。大橋 史弥 講師
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