54 | SEEDS研究の内容(大学院向け)実践活動で感じた疑問を研究手法によって、明らかにし、解決策を探る 保健師と働いていたある日、いつものように認知症高齢者のお宅に訪問すると、介護者である奥さんのお葬式と遭遇。“この認知症高齢者のご夫婦との経験を無駄にしない”と思い開始した研究が、認知症高齢者の家族介護者への健康支援である。介護者の睡眠を、Pittsburgh 睡眠質問票、アクティグラフ、心拍変動スペクトル解析を用いて、睡眠の量的評価?質的評価をすることを得意にしている。これまでに、歩行可能な認知症高齢者の家族介護者の睡眠の問題やレスパイトケアの効果を明らかにした。また、記述データについて内容分析を行い、介護者のストレス解消方法や医療的ケア児の養育者の困りごとなどを明らかにしている。介護者/心血管疾患リスクファクター/睡眠/医療的ケア育児Shihomi Sakuraicontact: sakurai@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/sakurai-shihomi図.家族介護者の健康支援に関する研究月に1回抄読会を開催し、在宅看護に関する論文の紹介と意見交換に実施。いろいろな視点からの意見交換を期待して、在宅看護学分野ゼミ以外の参加者も募集中。一緒に学び合いましょう。メッセージ研究分野地域看護学所属学会在宅ケア学会/地域看護学会/日本看護科学学会学歴?経歴●名古屋大学大学院医学系研究科 博士(看護学)●大阪府保健所勤務(保健師)●日本福祉大学事業部 研修講師●名古屋大学医学部保健学科在宅看護学 助手?助教●金沢医科大学看護学部公衆衛生看護学 講師?准教授●石川県立看護大学在宅看護学 准教授?教授論文●未就学の医療的ケア児を養育する親の育児ストレスの実態「インターナショナル Nursing CareResearch 21(1)」 2022●Effectiveness of Respite Care via Short-Stay Services to Support Sleep in Family Caregivers「Int. J. Environ. Res. Public Health 17」 2020●Impaired autonomic nerve activity during sleep in family caregivers of ambulatory dementia patients in Japan「 Biol Res Nurs 17(1)」 2015講演?口頭発表等●医療的ケア児が2歳未満の時期に訪問看護師が行った遊びの育児支援に関する内容分析「第41回日本看護科学学会学術集会」 2021●ショートスティ利用による睡眠支援を目的としたレスパイトケアの効果「第23回日本在宅ケア学会学術集会」 2018競争的資金等の研究課題●科学研究費基金?基盤研究(C)「訪問看護師向け2歳未満の医療的ケア児における食と発達に関する育児支援ガイド作成」●科学研究費基金?基盤研究(C)「認知症患者の家族介護者に対する睡眠支援を目的としたレスパイトケアの効果検証」社会貢献活動かほく市地域公開講座, 宝達志水町女性の会:健康教育『あなたの眠りは大丈夫』年齢や疾患にかかわらず、生まれてから人生の最期まで、児者が家族とともに自宅で安心して暮らせる未来の実現に貢献する研究の概要 認知症高齢者の家族介護者のほとんどが睡眠の不満を経験していた。これまでに、睡眠に問題を抱える介護者が、非介護者に比べて高血圧リスクが高いことを明らかにし、心血管疾患発症予防のための睡眠支援について提案している。 国内には1万を超える訪問看護ステーションがあるが、小児訪問看護に特化した訪問看護ステーションは43施設のみであった(2020年4月)。そこで、日本国内のどこに住んでいても、医療的ケア児とその家族が自宅で一緒に安心して暮らせる社会の実現を目指し、訪問看護師による育児支援について取り組んでいる。 最近新たに、指定規則が改正され、地域?在宅看護論になったことをきっかけに、介護予防に関する取り組みにも着手している。桜井 志保美 教授
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