研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 55研究の内容(大学院向け)病棟看護師の終末期のがん患者に対する退院支援の実践の自己評価と関連する要因を明らかにする 病棟看護師として勤務していて、終末期がん患者さんの看護に携わることが多かった。自宅で過ごしたかったという患者さんがいたが、その思いを叶えられずに何度も悔しい思いをしたことが研究のきっかけである。病棟看護師の退院支援がどの程度できているか、苦手と感じていないか、またそれに関連する要因は何かを明らかにすることで、病棟看護師の退院支援に関する教育に役立てていくことができるのではと考えた。病棟看護師は、患者?家族からの情報収集、家族への余命や告知、家族への療養についての要望確認はできているとする人が多かった。社会資源の活用、患者?家族?医療者の思いのずれについてはできていないとする人が多かった。苦手意識が少なく、終末期がん患者を自宅退院につなげた経験、在宅療養後の情報提供を受けた経験、退院支援に関する知識を有する病棟看護師は退院支援の実践の自己評価が高いことが明らかとなった。病棟看護師への支援として、退院後の患者の情報提供を受けることができるシステム作りや、苦手意識の改善への方策、退院支援の学習機会の必要性が示唆された。病棟看護師/終末期/退院支援Tomoko Yamajicontact: 07yama@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/to.mo-ko10代の頃は看護の世界に入ろうとは思っていませんでしたが、大学で勉強し看護師として働き、大学院でさらに深めていくことで楽しくなりました。 一緒に学んでいけるといいですね。メッセージ研究分野在宅看護学所属学会日本看護科学学会学歴?経歴2011年金沢医科大学看護学部 卒業2011年金沢医科大学病院 看護師2018年金沢医科大学大学院看護学研究科修了 修士(看護学)2023年石川県立看護大学 助教論文「病棟看護師の終末期がん患者に対する退院支援の実践自己評価と関連要因の検討」『日本看護科学学会誌』40巻 p. 562-571 2020年講演?口頭発表等●「終末期がん患者に対する病棟看護師の退院支援実践の自己評価とその関連要因の検討」日本看護科学学会学術集会 口演 2018●「病棟看護師の終末期がん患者に対する退院支援の自己評価とその関連要因の検討」日本看護科学学会学術集会 示説 2019人生の終末期をその人らしく暮らすことができるように、病棟看護師が行う退院支援の在り方や、病棟看護師に対する効果的な教育を考えるために役立てる研究の概要 日本人は人生の最終段階を迎えた時にどこで過ごしたいかと問われた時、自宅で過ごしたいと答える人が多い。しかし、医療の進歩に伴い、病院で過ごすことを選択し病院で亡くなる人が多い現状にある。終末期を在宅で安全に安心して、その人らしく過ごせる人を増やすためにはどうしたらよいか。2016年の診療報酬改定により退院調整加算から退院支援加算に変更され、病院から在宅までの切れ目のない援助を行うために、退院支援がより重要とされることとなった。また、早期のスクリーニングや、患者や家族の意向を確認することが必要となり、病棟看護師による退院支援が求められる時代となった。退院支援は患者の症状や病状のコントロール、意思決定支援、他職種や家族との連携や調整など様々なことを行う必要がある。病棟看護師は終末期を迎える患者の退院支援を行えているだろうか、できていないと感じている人達には何が影響しているのだろうか、退院支援を行う病棟看護師に対してどのような支援が必要であるかを見出していく必要がある。山路 朋子 助教

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