研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 59アルコール依存症/事例検討会Keiko Takahamacontact: takahama@ishikawa-nu.ac.jp私が研究に取り組むきっかけは糖尿病?アルコール依存症の患者さんとの出会いでした。どちらも自己管理(セルフケア)が肝要で、その回復と支援は簡単ではありません。しかし、回復した方の姿をみて、今、苦しんでいる患者さんにもこうなって欲しいと思いました。そして大学院進学、アルコール依存症から回復している方々と関わることになりました。分かったことは断酒の難しさと苦悩でした。しかし、楽しそうに生きる姿を見せられ、希望を持つことができました。現在、その過程?経験を理解して看護支援に活かすことを目指して研究しています。メッセージAA発祥の地、アメリカ合衆国へ研修に行きました。アルコール依存症からの回復者が運営する施設です。左上(外観)、左下(ミーティングルーム)、右の写真の言葉はトルストイからの引用だとか…「人間っていいな」と思った瞬間でした。研究分野アルコール依存症/事例検討会所属学会日本精神保健看護学会/日本保健医療行動科学会 日本看護科学学会/日本精神科看護協会日本質的心理学会学歴?経歴●長崎大学病院(内科?外科)●東京医科歯科大学病院(精神科?内科)●東京アルコール医療総合センター2005年東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科精神保健看護学博士前期課程 修了2015年東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科看護先進科学専攻精神保健看護学博士後期課程 入学(現在に至る)書籍等出版物●宮本真巳, 安田美弥子編『アディクション看護』医学書院 2008年(糖尿病の章を担当)●美濃由紀子編著『精神科の身体ケア技術』医学書院 2008年(糖尿病の章を担当)●井上智子?窪田哲朗編『病期?病態?重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図』医学書院 2016年(物質?アルコール関連障害の看護を担当)講演?口頭発表等●国内の看護学領域における統合医療に関する文献レビュー 患者を対象とした研究の効果?検証に焦点を当てて(示説:日本保健医療行動学会2017年)●自助グループに参加するアルコール依存症者の回復過程 12ステップを実践している2事例の語りから(口頭発表:日本保健医療行動学会2018年)●看護学領域における事例検討会の効果と課題に関する文献の検討(第2報)デスカンファレンスを中心に(示説:日本看護科学学会2021年)社会貢献活動2003年から日本精神科看護協会の研修にファシリテーターとして貢献している. 断酒継続し依存症から立ち直る方々の生きる力を探求して看護ケアに活かす研究の概要 アルコールは人類の歴史始まって以来、あらゆる文化の中で使用されてきた。技術革新の進化によって豊かになり、大量生産?飲用が可能になるにつれてアルコール関連問題も多く発生し、我々を悩ませてきた。アルコール依存症は長期の大量飲酒によって、身体?精神的依存を形成し、身体的?社会的問題を引き起こす進行性の慢性疾患で、アルコール関連問題の中核である。わが国では2014年に「健康障害対策基本法」が成立し、予防から回復までの支援が包括され、回復には断酒継続が重要とされ、自助グループへの参加が推奨されている。アルコール依存症の回復を支援している世界規模の自助グループAA(Alcoholics Anonymous)は基本テキストとミーティングを中心に活動している。AAについては医療?福祉?社会?宗教といった広範囲の領域から関心が向けられ、研究がなされてきた。看護領域でも長期断酒継続者の回復過程に関する研究がみられるようになり、回復者たちが「発症から回復までの過程を振り返りながら様々な経験の意味付けを行っている」ことが報告されている。私はAAメンバーがどのように実践しその断酒体験を位置づけているのか、どのような意味を見出しているのかを明らかにすることを目的として質的研究を行っている。髙濵 圭子 助教

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