研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 61研究の内容(大学院向け)マイクロバイオーム(細菌のパターン)、スキンブロッティング、AIを駆使した皮膚?創傷ケア技術の開発 上記目的を達成するための基礎研究として、高齢者の皮膚マイクロバイオームの研究をすすめている。マイクロバイオームとは、対象となる部位(皮膚など)にどういった細菌がどのくらいの割合で存在するか、ということである。高齢者の中には褥じょくそう瘡(床ずれ)を持つ方がいるが、褥瘡が治った後でも再び褥瘡が起こる場合がある。この褥瘡再発に、ある種の細菌が関与していることを研究によって明らかにした。この細菌を対象とした検出方法や“撃退”方法を開発できれば、褥瘡再発の早期発見や、褥瘡再発そのものを減らせるようになるかもしれない。 このほかにも共同研究として、スキンブロッティングという技術とAI を組み合わせて、採血せずに全身状態をチェックできる方法の開発(慢性脱水:峰松先生、栄養評価:長谷川先生)や、ベッドサイドで簡単迅速にできるDNA 検査法をベースにした創部感染検査法などの基礎?応用研究を行っている。看護理工学(bio-engineering nursing)/マイクロバイオーム褥瘡/人工知能(AI)Kazuhiro Ogaicontact: ogaikzhr@ishikawa-nu.ac.jpリサーチマップ https://researchmap.jp/cosine_60看護理工学、というと難しく聞こえるかもしれません。しかし、自分のちょっとしたひらめきが新しい看護技術の開発につながり、高齢者が健康に長生きできる世の中をつくれるかもしれない…と考えると、ちょっとワクワクしませんか。このワクワクを、石川県立看護大学で一緒に体感しましょう!メッセージ研究分野看護理工学(bio-engineering nursing)マイクロバイオーム/褥瘡/人工知能(AI)所属学会看護理工学会/日本創傷治癒学会日本看護科学学会/日本褥瘡学会日本創傷?オストミー?失禁管理学会 など学歴?経歴2008年金沢大学医学部保健学科検査技術科学専攻 卒業2013年金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻博士後期課程 修了 博士(保健学)2013年金沢大学健康増進科学センター 助教2018年金沢大学健康増進科学センター 准教授2023年石川県立看護大学共同研究講座看護理工学共同研究講座 教授受賞2020年第8回看護理工学会学術集会 研究奨励賞2021年令和2年度保健学系優秀研究教員2022年令和3年度保健学系優秀研究教員論文●Shibata K, Ogai K*, Ogura K, et al. Skin Physiology and its Microbiome as Factors Associated with the Recurrence of Pressure Injuries. Biol Res Nurs . 2021 Jan; 23(1): 75-81. (*corresponding author)●Ogai K, Matsumoto M, Aoki M, et al. Increased level of tumour necrosis factor-alpha (TNF-α) on the skin of Japanese obese males: measured by quantitative skin blotting. Int J Cosmet Sci . 2016 Oct; 38(5): 462-9.講演?口頭発表等●スキンブロッティングのさらなる応用 -定量解析?網羅的解析に向けた検討- 第50回日本創傷治癒学会●A comparative study of skin bacterial communities in healthy-young individuals and bedridden-aged inpatients in japan. WUWHS 2016.競争的資金等の研究課題●科研費基盤研究(B)「皮膚細菌?真菌叢に着目した失禁関連皮膚炎の新規リスクファクター探索と予防ケア開発」●科研費基盤研究(C)「網羅的スキンブロッティング法による「褥瘡予測タンパク質」の探索と臨床応用」社会貢献活動●看護理工学会 評議員, 編集?広報?教育委員●日本創傷治癒学会 評議員●金沢大学つるま同窓会 会長バイオからAIまで看護理工学に基づく、高齢者を守る包括的ケアシステムの構築研究の概要 少子高齢化に伴い、社会保障のメインステージは病院から在宅にシフトされつつある。また、体調は悪い、だけど病院にはかからない、という高齢者が多くいると考えられる。2023年4月に新たに設立された「共同研究講座 看護理工学」では、上記のような問題を解決するために、病院や施設にいる方はもちろん、地域に住む高齢者が健康状態を自分で、いつでも、どこでも調べることのできる技術の開発研究を行う。さらに、結果を早期発見やケアにつなげることを見据え、「高齢者を守る包括的ケアシステム」を確立する。大貝 和裕 共同研究講座教授

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