研究者情報 研究シーズ集
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環境因子(おもに化学物質)の脳―神経系あるいは内分泌系への影響の研究(近年は複合汚染に注目している)。栄養素(必須微量元素など)の生態学的意義に関する研究。地域の出生力に関する研究。患者?家族が在宅療養生活を継続するためには、当事者である患者?家族の症状マネジメント力の向上が重要であり、患者の病態と生活から包括的に症状マネジメントできる診療看護師(NP)の介入が求められる。そこで本研究では、在宅療養生活を継続するために、診療看護師(NP)が患者?家族の療養生活で得た自助力を活かし、患者?家族の症状マネジメント力を高める教育支援モデルの開発を試みる。看護や医療は、さまざまな施策や制度によって支えられ、組織によって提供される。すなわち持続的かつ質の高い看護を提供するためには、看護職が働き続けられる職場環境や組織づくりと、それらを支えるシステムづくりが重要となる。ワーク?ライフ?バランスやリーダーシップ、組織内/外の資源活用、施策/政策介入など、複数の多角的視点で組織を捉え、看護のチカラが最大限発揮されすべての国民に届けられる組織?システムの在り方やメカニズムについて探求している。医療事故のうち転倒?転落は療養上の世話の中で最も多い。一般的に、転倒リスクアセスメントツールが用いられているが、実際には五感を使った判断や行動が先行している現状が明らかになっている。五感のうち、視覚は87%を占めており、看護師は視覚情報を用いて臨床判断を繰り返している。現在は、転倒リスク場面における看護師の臨床判断能力や場面の違いによる眼球運動との関連を明らかにすることを目的として研究に取り組んでいる。集中治療領域の発展により、重症患者の生存率は上昇したが、その一方で、長期予後の悪化やQOL低下が問題視されるようになった。集中治療後の運動機能?認知機能?メンタルヘルスの障害はPost intensive care syndrome: PICSと言われ、患者とその家族の退院後のQOL低下の一因とされている。特に、超高齢化社会においては、患者の多くが高齢者であることからPICS発症のリスクは高く、一旦退院しても再入院を繰り返すなどにより、患者やその家族だけでなく、医療経済への負担は大きいものとなっている。そのため、重篤な病態を乗り越えた患者とその家族が、退院後に自律して生活できること(自助力を活かした在宅療法への移行支援、心身のリハビリの継続、異常の早期発見による重症化前の対応=再入院予防)を目標に、プログラムやシステムの開発に関する研究を計画している。高齢化に伴い急増している慢性心不全は、増悪と寛解を繰り返すことで心機能が低下し、生活の質と生命予後を悪化させる。再入院率は非常に高く、患者数増加に伴う高額な医療費も問題となっている。慢性心不全患者への看護師の役割は、問診と身体所見観察、および日常生活指導による心不全の増悪予防と早期発見であるが、現状の予防対策では十分とは言えない。そこで、在宅療養する慢性心不全患者の身体所見観察に、看護師が携帯エコーを用いることに着眼した。看護師の身体所見観察に携帯エコーによる客観的指標を追加できれば、心不全増悪の早期発見が容易となり、在宅で療養する心不全患者の再入院率低下とADL維持に大きく貢献できると考える。68 | SEEDS研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ?地域の出生力に関する研究?環境汚染物質の脳神経系?内分泌系への影響?必須微量元素の生態学的意義に関する研究診療看護師(NP)による患者?家族の症状マネジメント力を高める教育支援モデルの開発看護のチカラが発揮され、国民全体に届く組織?システムを探求する転倒リスク場面における看護師の臨床判断能力と眼球運動との関連重篤な病態を乗り越えた高齢者の退院後の療養支援に関する研究在宅療養患者への看護師による携帯エコーを使用した心不全評価の臨床的意義今井 秀樹 [P.19]研究キーワード fertility/environmental chemicals 石川 倫子 [P.20]  寺井 梨恵子 [P.22] 田村 幸恵 [P.24]  瀬戸 清華 [P.26] 千田 明日香 [P.27]研究キーワード 診療看護師(NP)/症状マネジメント/在宅療養移行支援木田 亮平 [P.21]研究キーワード 組織マネジメント 寺井 梨恵子 [P.22]研究キーワード 転倒/看護師/看護学生/臨床判断/視線解析/観察南條 裕子 [P.23]研究キーワード クリティカルケア/ICUサバイバー/重症化予防 田村 幸恵 [P.24]研究キーワード 慢性心不全/携帯エコー/看護師/在宅essential trace elements健康的職場環境(Healthy work environment) 職場のソーシャル?キャピタル/持続的な看護提供体制 地理情報システム看護管理/EBP

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