研究者情報 研究シーズ集
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SEEDS | 71本研究の目的は、母親の完全主義と育児困難の関係および、完全主義とエンパワーされた経験との関係を明らかにすることである。完全主義の?完全欲求?、?失敗過敏?、?行動疑念?の3側面が強い母親ほど育児困難が強かった。また、安心できる人達の基で?気持ちの整理?、?本来の自分になれる?、?役立つ感覚が得られた体験?、?新しい考え?視点?対処方法の獲得?の経験をしていない母親は、そうでない母親に比べて完全主義の?完全欲求?、?失敗過敏?、?行動疑念?の3側面が強かった。完全主義の傾向が軽減されるには、母親が安心できる関係性の構築とその人との間で、上記の経験ができるよう支援することが重要であった。虐待や貧困等により親から養育を受けられない子どもの養子縁組や里親等による家庭での養育率は非常に低く、文化社会的背景を考慮したうえで認知や受容を変革していく必要がある。そのような中、特別養子縁組に子どもを託す実母への支援はほぼなく、予期しない妊娠を経て出産後すぐに子どもを託すという人生の劇的な変化と、深い傷つきや不安を経験した女性への心理教育を含めた長期的な自立支援を目指し研究に取り組んでいる。高齢者の皮膚は、薄く、弾力性が乏しく、角質水分保持能や皮脂の分泌能などの機能が低下する。このように脆弱な高齢者の皮膚に物理的、化学的な刺激が加わると、褥瘡(じゅくそう。いわゆる「床ずれ」を意味する)、スキン-テア(皮膚裂傷)、失禁関連皮膚炎などの多様な皮膚障害が発生しやすい。さらに、これらの皮膚障害によって、痛みや痒み、時には皮膚障害部が感染し死に至る場合がある。そのため、これらの皮膚障害を予防し、発生時には適切な管理を病院や介護施設、自宅であっても行える体制整備に向けての研究に取り組んでいる。皮膚の異常は、生命を脅かすのみならず、強い不快感により生活の質(QOL)を低下させ、さらにボディイメージなどを損なうことで精神的苦痛にも直結する。そこで、誰もが簡便に、出血や痛みもなく皮膚の状態を検査できる技術として「スキンブロッティング法」を開発してきました。これまでスキンブロッティング法を用いた皮膚バリア機能の評価、褥瘡(じゅくそう。いわゆる「床ずれ」)の発生予測、かゆみの同定などに応用してきました。さらに近年は、スキンブロッティングを全身状態の評価にも応用できることを見出し、慢性脱水や栄養状態の評価法の開発にも取り組んでいます。リンパ浮腫は、がん治療後に約30%~50%の患者が生じる慢性的な浮腫である。リンパ循環停滞により真皮?皮下組織に過剰な組織間液が貯留することで、主に四肢に生じることが多く、治癒が見込めない病態であることが特徴である。浮腫のコントロールと、生涯続くセルフケアの支援が重要であることから、病態の可視化による評価方法の構築や快適性の価値を付加した医療機器開発実績を有する。がん患者は、がんに罹患することや、化学療法?放射線療法といった治療のために、外見が変化することがある。入院期間の短縮やがん治療の進歩によって、がん患者は外来で治療を受けながら社会の中で生活を送っているため、外見の変化は、社会生活を営む上で苦痛になりうる。このような外見の変化に対するケアをアピアランスケアと言う。がん患者の社会復帰や精神的な支援の1つとして、看護師を含む多くの医療職がアピランスケアを正しく理解できるように周知していけるよう活動している。研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ母親の完全主義と育児困難?エンパワーされた経験の関係子どもを特別養子縁組に託す実母への支援を確立し、傷ついた女性を支援する専門家によるリモート支援によって、すべての高齢者の皮膚を健康に保つケア体制の構築皮膚を看る、皮膚を護る、そして皮膚から看る:ポイントオブケアナーシング技術の開発リンパ浮腫の客観的評価方法の確立とケア技術の開発がん患者のアピアランスケアについて後藤 亜希 [P.36]研究キーワード 子育て支援/育児困難/母親/完全主義西 真理子 [P.37]研究キーワード 特別養子縁組/実母支援/自立支援/虐待予防 紺家 千津子 [P.38]研究キーワード 創傷ケア/スキンケア/ストーマケア/排泄管理 峰松 健夫 [P.39]研究キーワード 看護理工学/スキンケア/創傷治癒 臺 美佐子 [P.40]研究キーワード がん/リンパ浮腫/セルフケア支援松本 智里 [P.41]研究キーワード がん/アピアランスケア/外見変化/ボディイメージ予期しない妊娠リモート看護師支援慢性脱水/スキンブロッティング

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