SEEDS | 75わが国では、発達障害者支援法の施行により、発達障害者（児）に対して障害特性やライフステージに応じた支援が行われている。知的?発達障害をもつ人の社会参加の一つとして、就労がある。農福連携を推進していくことが国を挙げての動きであるが、順調には進んでいない状況にある。その理由にはいくつかあるが、知的?発達障害をもつ人がうまく働くことができる環境づくりが必要であると考える。現在は知的?発達障害をもつ方が適切に機械操作ができるように研究を進めている。事例検討会は、看護職を含む援助職の現任教育における実践能力の向上を目指す継続学習として位置づけられてきた。本研究メンバーは、2002年より宮本が提唱する「包括的事例検討会」を実践し、2005年から方法論の確立を目指した検討を重ねてきた。これまでの研究では、事例提供者および参加者の体験の構造化を試み、集団力動が及ぼす影響、参加者?提供者の感情体験等を明らかにすることで運営面での工夫を重ね、その効果を検証してきた。しかし、2020年以降、COVID-19のパンデミックの影響によって、オンラインで開催している。2021年に実施した「看護領域における事例検討会の効果と課題に関する文献の検討（河合）」によると、パンデミック以前からオンラインツールを活用した事例検討会に関する研究報告はなされており、対面開催と同様の学習効果がもたらされることや、感染対策のみならず、開催上の利点が複数存在することが示されていた。しかしながら、看護の分野において事例検討会は、未だ継続運営の困難さ、方法論の吟味の不十分さが課題とされていることも明らかとなった。このような現状を踏まえ、オンラインによる「包括的事例検討会」の学習効果と利点?課題点を明らかにし、先行研究で明らかにされている学習効果比較検討することを通じて、課題点の解決方法を考察することを本研究の目的とする。本研究の実施によって、「包括的事例検討会」においてオンラインツールの効果的活用と運営のための示唆を得ることができる。看護師は、患者との関わりにおいてさまざまな葛藤を抱えながら働いている。葛藤が深刻になれば、心身の健康を損なうことすらある。本研究では、看護師に対して、看護場面における気がかりな体験を想起してもらい、その場面で味わった感情について語ってもらうインタビューを実施する。なかでも、否定的な感情を味わいつつも、患者と援助関係を継続できた体験に焦点を当てた語りを促し、質的記述的に分析を加える。看護場面における看護師の感情体験を、援助関係の形成へ活用する方法論の確立に寄与することを目指している。少子高齢化に伴い、社会保障のメインステージは病院から在宅に変わりつつある。体調は悪いが病院にはかからない、という高齢者も多い。2023年4月に石川県立看護大学に「共同研究講座 看護理工学」が新設され、上記のような問題を解決するために、地域に住む高齢者が健康状態を自分で、いつでも、どこでも調べることのできる技術の開発研究を行う。さらに、結果を早期発見やケアにつなげることを見据え、「高齢者を守る包括的ケアシステム」を確立する。地域在住者が健康で長生きできる社会の実現を目指し、「栄養学」と「看護理工学」を融合させ、“痛くない、簡便で、リアルタイムな新たな健康管理システム”の開発を目指している。具体的には、スキンブロッティングというパッチテストのような非侵襲的な生体検査法を用いて、地域在住者が自分で自身の栄養状態や健康状態を評価できるセルフモニタリングツールを開発し、それを活用する管理システムの構築に取り組んでいる。研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ研究テーマ知的?発達障害をもつ方の農福連携に関する研究オンラインによる「包括的事例検討会」の方法論に関する研究看護師の感情体験と援助関係の形成? 看護理工学に基づく、高齢者を守る 包括的ケアシステムの構築? マイクロバイオーム（細菌のパターン）、スキンブロッティング、AIを駆使した皮膚?創傷ケア技術の開発? スキンブロッティング法を用いた健康管理システムの構築に関する研究? スキンブロッティング法による健康状態や栄養状態の評価法の開発に関する研究大江 真吾 [P.58]研究キーワード 自閉スペクトラム症／発達障害／農福連携美濃 由紀子 [P.57] 大江 真吾 [P.58] 髙濵 圭子 [P.59] 川俣 文乃 [P.60]研究キーワード 事例検討会／継続学習／オンライン／アルコール依存症川俣 文乃 [P.60]研究キーワード 患者―看護師関係／援助関係／感情活用能力大貝 和裕 [P.61]研究キーワード 看護理工学（bio-engineering nursing） マイクロバイオーム／褥瘡／人工知能（AI）長谷川 陽子 [P.62]研究キーワード 看護理工学／栄養評価／在宅栄養管理 スキンブロッティング
元のページ ../index.html#77